GAKUDAN_H1TOR1 / H1TOR1-GOTO

POP CULTURE ACTIVIST IN I-CITY.../RAP MUSIC/TOYS/VIDEO GAMES/CRUISING SK8/COMIC/KAIJU MOVIE/AND MORE!

THE WAY HOPE GOES

桐山和雄。脳の一部に欠陥がある男。「バトルロワイアル」に登場する、中学三年生のキリングマシン。幼少期に外的要因にて脳の一部を損傷以降、他者への感情がほぼ皆無。慕う級友にも容赦なく銃口を向ける。

 

**********************

毎日同じ時間に目が覚める。

 

まずは天気予報を隈なくチェック。一週間単位で確認し、天候マターの予定を随時調整する。

 

情報番組を眺めながら朝食を摂る。たまに摂らない。

 

足の指に制汗剤を塗布する。

 

床を掃除し、ゴミを纏めて、出勤。

 

仕事はそつなくこなす。新人からよく業務の相談を受ける。委託元からも、ある程度評価される。努めて明るく陽気に従事する。

 

タバコは三日に一箱を厳守。一ヶ月でワンカートンの計算。

 

飲酒量も一ヶ月でのトータル量を完全にコントロールする。

 

週に一回必ず洗濯する。

 

支出を全てスケッチブックに書いたカレンダーに記入し、金銭の出入りを完全に掌握する。

 

帰宅。手を洗う。靴下を所定の場所に始末する。

 

レコードをかける。

 

ストックしてある食材で晩酌。キッチンに居ながら揚げたての唐揚げをレモンサワーで流し込むのが愉悦。ストック量を常に把握。平日分の献立は二週間先ぐらいまで事前に考えておく。

 

乾き物で黒ウーロンハイを嗜む。

 

シャワーを浴び、その日のうちに洗い物を済ませる。

 

歯を磨く。

 

ベランダでタバコを吸う。

 

気絶する様に就寝。

 

これらをただ繰り返す。

 

毎日。

 

**********************

少しずつ、本来の自分自身を取り戻している感覚。もう誰にも何も任せない。頼らない。意図的に孤立する。

 

全てを徹底的(この場合はテッテ的と言うのが妥当か)に把握し、コントロールし、統制する。SF映画ディストピア社会の様に。

 

**********************

 

僕には、感情がない。新型肺炎で国民的コメディアンが急逝した。周囲が哀しみに暮れる中、僕は全く感情移入が出来なかった。会ったこともない人間の死を悼む心が理解できない。

 

もっと言うと、目の前にいる人間の感情を読み取ることも苦手である。常識とか、良識とか、人として当たり前だったり当然だとされる共通認識とか、そういう類の脳機能がごっそり存在しない。

 

これまでは、あたかも、それらがあるかの様に、振る舞っていた。自分自身にも備わっているものだと思い込んでいた。

 

しかし、ないのだ。ないものは、ない。

 

感情のスイッチが他者とズレている。間違いなく。

 

よく誤認されるのだが、僕の創作は感性ではない。論理だ。僕というフィルターを通した世界をロジカルに言語化しているだけである。そこにも、感情は希薄である。

 

**********************

僕は、これから先の人生を、オープンワールドRPGだと思うことにした。全てが数値化され、それをただ弄るだけの世界。自分自身を俯瞰して、完全にコントロールするのだ。そこには他者の意図が介入する隙はない。

 

しかもいわゆる「強くてニューゲーム」なのである。言わば「二周目」。同じ轍は踏まない。石橋を叩いて割るタイプ。叩いて、割って、迂回する。急がば回れ。大丈夫、時間はあるから。

 

**********************

 

この自発的なディストピア生活こそが、ユートピアだったのだ。

 

おかえりなさい。